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北海道野生博物館

エゾモモンガ1

冬の夜 森の片隅に“小さな命”

 目を瞑(つむ)り、雪の上。座り込んで夜を待つ。遠くでキタキツネが鳴いている。湖畔の森を闇と冷気が包み込む。

 エゾモモンガは断熱効果の高い“ログハウス”の中。ハンノキの幹にアカゲラが掘った穴を冬のすみかにしている。体を丸めてまだ眠っているはずだ。

 かすかな気配に目を開くと、そこにもモモンガを待つシルエット。エゾフクロウが枝から巣穴を見おろしていた。夜の狩人は獲物がこの穴から出てくることを知っているのだ。

 双眼鏡でのぞくと、モモンガの大きな目が見ていた。やがてフクロウは姿を消し、巣穴から相次いで3匹の親子が現れた。

 目覚めの営みが始まった。モモンガは平らな尻尾(しっぽ)を背中に跳ね上げて、決まった場所で糞(ふん)をする。食べることは生きること。糞は生きとし生ける物の「生活証明」だ。

 順番に幹を駆け登り、空中へ躍り出た。木々を渡り飛び、冬芽や花穂を食べる。南東の空にシリウスが昇るころ、トイレと食事を済ませたモモンガたちは早々と巣穴に帰っていった。

 人工衛星がゆっくりと空を横切ってゆく。地球という星の日本という国の北海道の森の片隅。冬の夜の時間の流れをモモンガたちは生きている。

 (写真・文 石毛良明)  

 【写真説明】

 (上)小さな指先で器用に持って、ただいま食事中

 (下)ちょっと失礼−−。新雪の上に米粒のような糞が積もっていく

エゾモモンガ2

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