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発行日=1996年10月7日 ソース=朝刊
面 名=1家  ページ=17
発行社=東京  文字数=1253   

低血圧:8 東洋医学の説く摂理にも親しもう(現代養生訓)

 漢方薬の補剤が体力を補うと前回触れたが、東洋・西洋医学の融合に励む永田勝太郎・浜松医大講師は、西洋医学の薬剤ユビデカレノン(コエンザイムQ10)が補剤に似た働きをすると指摘した。細胞のエネルギー生産を助け、低血圧患者の生活を大きく改善するという(グラフ)。
 ただこの薬は、健保では低血圧に使えない。西洋医学に補剤の思想がなく、効果が過小評価されていると永田さんは残念がる。もっともユビテンの名で薬局などで市販され、永田さんは十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)・紅参末(こうじんまつ)と一緒に患者に併用しているという。
 「東洋医学とその考えも取り入れることで、低血圧など、体質の病気に光明が見える」と、永田さんは国際学会で東洋・西洋医学の融合を提唱している。ユビデカレノンと漢方薬の併用はその実例の一つだ。
 村田高明・東京都国保連南多摩病院長は、低血圧に多い冷え症を研究しているが、「東洋医学なしに冷え症の治療はできません」と言った。薬だけではない。東洋医学では、冬の寒さで育った作物は体を温めると説く。温室ものばかり食べては、冷え症も低血圧も治りにくい。こんな思想が回復に役立つという。
 「低血圧の人は、体を温める食物の摂取を心がけ、冷やす食物を控えるといい」と村田さん。北九州市小倉北区の三萩野病院の藤岡耕太郎・医師(心療内科)らもうなずいた。低血圧の人は健康志向が強く、消化に悩んで大根おろしを大量に常食しやすい。だが東洋医学では、これは体を冷やしてよくないとされる。
 もっとも「冷やす・温める」は調理法にもよる。体は熱いなべもので温まり、凍りかけた食物で冷える。これに食材の性質が重なる。猪越恭也・東京薬科大講師は「おでんの大根なら中立に近い」と解説した。主な例を下表に挙げたが、資料で多少の差がある。「常識として頭におき、行き過ぎて偏食にならぬ範囲で気にかけるといい」と猪越さんらが助言した。
 藤岡さんは和食の朝食を「日本人の知恵」と評価した。みそ汁が体を温め、梅干しや漬物も食塩やミネラルを補う。患者によく効き、自分も低血圧体質の藤岡さんが「和食の朝食を習慣づけたら元気になった」。
 東洋医学は独自の視点であれこれと摂理を説く。現代的な明白な証明はなくても、数千年の試練に耐え、経験に支えられてきた。西洋医学の治療でよくならずに低血圧に苦しむ人は、東洋の知恵に親しみ、自分で効果を判定しながら取り入れてはどうだろう。
  
 <体を温める食物・冷やす食物>
 大量に食べるとき注意を。個人差や体調も響く(猪越さんらによる)
 ●温める
 熱い食物 かんをした酒 強い酒
 ショウガ コショウ カラシ トウガラシ もち米 ネギ ニンニク ニラ
 カボチャ タマネギ 一般に根菜類の煮物
 梅 クリ 桃 鶏肉 羊肉 ウナギ
 ●冷やす
 冷たい食物 冷酒 ビール
 バナナ ナシ カキ スイカ ビワ トマト セロリ キュウリ 一般に生野菜
 大根(ニンニクの温める効果も消す) そば 豆腐 カニ コンブなど海藻


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