宝塚プレシャス

宝塚コラム

男役の変貌〜荻田浩一論

演出家荻田浩一の宝塚時代の作品を通して、宝塚の男役の形を見定める

  V.死者の呪縛 『夜明けの天使たち』(5)(2009.06.26)

 アルヴァの課題は死者を鎮魂することだった。それは言葉を変えていえば、死者の呪縛から解放されることである。

 アルヴァは初め、酒場でジーン・ハモンドの家を聞いて彼女を訪ねて行く途中の荒野で、『憎しみの大地』というナンバーを歌っていた。彼がこの町へやってきた決意がそこに示されている。

 

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  IV.夢幻能 『夜明けの天使たち』(4)(2009.06.19)

 アルヴァの前には3つの選択肢がある。(1)初志を貫いてブラントンを撃つこと。しかしブラントンは実の父だと分かった。養父母の敵として実父を殺すのは正義にかなうのか。(2)ブラントンの身代わりとしてジョシュアと対決すること。しかしジョシュアはやはり血を分けた兄弟だと分かった。さらに2人の間には不思議に響き合うものがある。(3)アンジェラの指し示す道を行くこと。 購読して続きを読む

  III.グノーシス主義 『夜明けの天使たち』(3)(2009.06.12)

 この作品はキリスト教を背景に置いて書かれているが、それは正統キリスト教ではなく、キリスト教の異端グノーシス主義の立場である。題名がこのことを宣言している。


 「夜明けの天使」という言葉は、「明けの明星」を連想させる。

 この星はラテン語でルキフェル(英語ではルシファ…… 購読して続きを読む

  II.キリスト教 『夜明けの天使たち』(2)(2009.06.05)

 この作品にはキリスト教の影が濃い。しかも正統教会から見ると異端のにおいがする。カトリックと先祖の信仰を併せ持つプエブロ・インディアンを出したのは、この伏線である。

 アッシュ・クリークの町は悪にまみれている。

 ブラントンは、息子のジョシュアや、右腕と頼む大洋あゆ夢のクラレンスに町のことは任せて、よその町を荒し回っている。また駅…… 購読して続きを読む

  I.文化人類学 『夜明けの天使たち』(1)(2009.05.29)

 アメリカ19世紀の西部開拓時代、世界の果てのような町アッシュ・クリークに、湖月わたるのアルヴァ・グレイというガンマンが、西部劇の約束どおり、酒場のスイングドアを押し開けて入ってくる。そこにやはりガンマン、彩輝直のジョシュア・ブラントンがいた。

 アルヴァはこの町のボス、夏美ようのバリー・ブラントンを、養父母の敵と知ってやってきた。ジョシュアはその…… 購読して続きを読む

  はじめに(2009.05.22)

 私が初めて荻田浩一に会ったのは、人違いがきっかけだった。

 彼は1993年、大阪大学文学部日本学科(文化人類学・民俗学専攻)3年に在学中、宝塚歌劇団の演出助手採用試験に合格し、1年間嘱託(アルバイト)として働いた後、1994年、大学卒業を待って正式に入団した。

 「3年だから歌劇団を受けたのです。4年生だったら、多分研究者の道を選んでいた」

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男役の行方:正塚晴彦の全作品

「男役の行方」表紙
演出家・正塚晴彦の2008年までの全作品を通して、宝塚男役の行方を見定める

由美子へ・取材ノート

「由美子へ・取材ノート」表紙
御巣鷹の日航機墜落事故で亡くなった元タカラジェンヌ北原遥子(本名・吉田由美子)の生涯をつづるノンフィクション
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